20180424 狭あい道路のセットバック 自主後退
建築基準法上の道路形態で42条2項道路と呼ばれる道路があります。4mの幅員に達していない狭い道路を、道路中心線からそれぞれ2mずつ後退して道路幅員を確保することで車両の往来、緊急車両の通過などをスムーズに行えるようにするものです。例えば現状で3mの幅員の道路に面する住宅地で、行政が道路査定を行ったところ、道路の中心からそれぞれ2mのところが道路と自分の敷地との境界である、と定めることです。もちろん、道路に面していた方にとっては自分の敷地が少し減ってしまうことになりますが、こうするとで4m幅員が確保できるというわけです。
4mに満たない幅員のある住宅地の道路ではたいていセットバックが必要になってくるのですが、現状で3m無いからといっていきなりセットバック義務が生じるわけではないです。建物を建替えたり、増築したり、何か擁壁のような工作物を建築する目的で役所に建築確認を申請する段階でセットバックの義務が生じてくるのです。ということは、その狭い道路に該当する方々が役所への建築確認を行うような工事をしない限りずっと3mの幅員のままです。これは皆が通行に差し支えるだろう、ということで役所の指示なく自分たち自らが任意でセットバックすることがあります。
これは自主的な道路後退になりますが、民間の測量会社などに依頼して道路査定をし、図面を起こして道路幅員を確保していくやり方なので、見た目は道路に見える或いは道路として提供することにしたけど実はその一部は自分たちのものである。という主張や認識が代替わりしても続いていくことになります。自分の敷地前にプランターを置いてわざと通行を妨げているようなケースでは元々は道路として提供していたものの、その後にトラブルになったとか、代替わりして先代の取決めを引き継いで無かった、ということが考えられる事案です。文書による特段の取り決めや行政が介入した痕跡のある自主後退と、道路に接する世帯だけで任意に取決めた自主後退とでは、この先の土地売買や道路補修などが行われる場合に解決の手間が変わってきます。
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