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営業日記(ブログ)

20230215 住宅ローンと固定資産税を滞納して競売になる前に

昨年くらいから当社にもローンが払えそうにない、競売開始決定がされたとか、銀行から代位弁済通知がきた、どうすればいいか?という質問がきてます。うちのような小さな会社にも相談がくるということは、大手とか任売専門の業者にはここ数年でかなりの件数の相談があるのではないかと推測されます。新型コロナウィルスによって出社機会も減らされて給料が下がり、どうにも支払いができないという方が増えている云々のニュースはもう2年前から話が出ていたと思いますが、去年からは物価高がかなり効いてきており、食品はもちろん、水道光熱費やガソリン代などが万単位で上昇しているご家庭が大多数いるのだろうということが容易に推測できます。

任意売却というキーワードでネット検索すればたくさんの情報が出てきます。私も20年頃前に住宅金融公庫や全国保証の任意売却案件を多く取り扱ったことがありましたが、現在と比較しても債権者にきちんと筋道を立てて説明すれば任意売却がまとまりやすかった時代でもありました。今は結構シビアなようで差押えからほどなくして粛々と競売開始決定がされるとよく耳にします。住宅ローン支払いが滞ると固定資産税や管理費や市県民税の支払いもできなくなってきます。ローン会社のみならず行政から差押え登記されてそれでも何もしないと競売開始決定続きとなります。できれば支払いが3ヶ月滞る前、いわゆる「差押えの前」の督促がきてる段階で何かしらの手立てを打つといいです。不動産を任意売却しても手元には残らないし全ての売却額で支払いが全部できるのは稀ですが、住宅ローン会社や市役所や代弁会社などの債権者に分配交渉ができる段階なら十分に任売で進める価値はあります。

この分配交渉がとても地道で骨の折れる作業です。第一抵当権者である住宅ローン会社が一番多く取り分を得たいわけですが、後順位の抵当権者や抵当権設定してないカード会社や消費者金融にとって、第一抵当権者だけ取り分が多いのが「おもしろくない」わけです。マズいのはサラ金とか街金から借りている場合です。「こういう方面の方」との交渉が一番大変です。権利書(登記識別情報)や実印や印鑑登録カードまで預けてしまっていると、全ての無担保債権者と分配交渉をまとめないと「売れない」わけですから不動産業者も仲介手数料に響きます。債務者本人がそのまま破産するのか、不動産担保の外れるものの債務は残って一生掛けて支払い続けるのか。債権者と債務者との間に入っての交渉に弁護士だけでなく不動産業者の担当者が入るとなると、相当な経験に長けた不動産実務経験者でないと猛者であるサービサーに太刀打ちできません。

不動産仲介実務の中でも専門的な要素が強い競売実務、任意売却実務において絶対に失敗が許されない交渉力が必要にも関わらず、任売が楽にできる商売だという感覚をもった不動産業者もいますし、経験の乏しい営業マンが右から左に不動産を普通の取引と同じ感覚で売却するように手続きを進めると債務者が余計に泣きを見ますので、任意売却を依頼する不動産業者は大手とかネームバリューではなくて何よりも経験豊富で交渉に長けている業者が良いと経験上強く感じます。1ヶ月支払いが滞納し翌月の見込みが立たない状況ならすぐに不動産業者に相談するといいです。その相談で売る売らないを決める必要もないです。どのような選択肢があるか、一緒に暮らす家族にどのようなリスクが生じるか、をアドバイスしてもらうのです。このような任売専門会社はまず「名前を聞いたことがない」くらい小さな業者であるのも特徴です。そしてこうなってしまった以上仕方ないことではありますが、不動産業者にアドバイスを求めるのに大切なことは「債務者に寄り添ってくれる営業マンであるかどうか」これに尽きるのではないでしょうか。

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